■支えと脱力

ピアノを弾く上で、支えと脱力は欠かせません。ここではその説明と、指を整える方法、力みを取る方法を紹介しています。


■支えと、指を整える方法

■脱力と、力みを取る方法■




◆支えについて

支えは、あらゆる動作に欠かせないものです。 これがなくては、動作は不安定です。 では、ピアノを弾くときの指は、何処で支えているのでしょう?

指は、アーチ型をつくることによって自らを支えています。 この指を支えるのは、“付け根”や“手のひら前部”です。 (支えは、筋肉のバランスで成り立っています。)

そして、表現に応じて“手のひら全体”や“手首”へ移動させることもできます。 (詳しくは、「指の支え」参照。)

支えを具体的に取るには、どうしたらよいでしょう? それには、支えの位置である“手のひら前部”が安定するようにイメージします。

感覚がつかめないときは、この位置で打鍵を受け止めるようにするとよいでしょう。 その後は、手をゆらさず“波立てない”ようにします。

そして、安定したら、意識が偏らないよう忘れることが大切です。 それは、筋肉を自然なバランスに保つ必要があるからです。 (詳しくは、「筋肉のバランス」参照。)
 


■指の形を整えるには

指を、アーチ型に整えるための方法です。 逆関節や不安定な形は、力みの原因になります。

指を鍵盤に置き(中央ドがよい)、軽くボールを持つように形を整えます。そして、関節が反り返らない程度の力で押さえます。
次に、拍子に合わせ(4拍子のサイクルがよい)繰り返します。この動作を、全ての指で行います。

(指が安定したら、リズムを4分音符から、8分音符や3連符などへ発展させるとよいでしょう。 又、どうしても反り返るときは、鍵盤を手前へ引っかいてみて下さい。)

■親指の形を整えるには

付け根の関節が、中へ窪むのを直す方法です。 これは、俗に“マムシ指”と呼ばれ、オクターブや和音を弾くときの力みの原因になります。

まず、付け根を外に張り出す往復運動を繰り返します。(4拍子のサイクルがよい)
次に、付け根を中心に、右回り左回りの回転運動を繰り返します。(左回り右回り同等に行う)

(前述の、指の形を整える動作のとき、親指が窪むようなら、付け根の内側を反対の手(人差し指)で押さえておくとよいでしょう。 参考、Q&A「マムシ指を直すには」。)

■考察

形を整える方法は、他にも様々あります (例えば、手の中に綿をテーピングして固定する。 親指を張り出す運動にゴムを使うなど。) ここでは、誰もが簡単に取り組める方法を紹介しました。

トレーニングにあたっては、支えを取るのを忘れずに。 (支えをきちっと取るとトレーニングしやすくなります。)

Q&Aでは、「支えと、脱力」など、様々なアドバイスをしていますので参考にして下さい。

「筋肉のバランス」について

支えは、指を伸ばす“伸筋”と、握る“屈筋”という、二つの筋肉群のバランスで保たれています。 このバランスは、意識しない自然なバランスに保つ必要があります。 何時までも意識し続けると、そこに力が集まり、力みになってしまうからです。

この、意識せずバランスが保たれている状態を、“拮抗”と言います。 これは、私たちが特に力を入れることなく、立っていられるのと同じ状態と思って下さい。 この“拮抗”にするには、先に説明した支えの正しいプロセスを踏むことが大切です。 (この他バランス関連は、「バランスと個性」など。)


■脱力と、力みを取る方法

■支えと、指を整える方法■




◆脱力について

動作には、支えと併せて脱力も欠かせません。 この脱力は、ただ力を抜くのではなく、支えと一体にあるものです。 (従って、正しい支えを取ることも大切です。)

脱力には、いくつか段階があります。 まず、一般によく言われる“肩の力を抜いて”“腕を楽に”のような全体的なものです。 (この時の支えは、上半身全体です。)

これには、弾く前に、肩を上下させたり、鍵盤に腕(ひじから先)を置き、上半身をうつぶせてから徐々に起き上がるなどの方法があります。

演奏中は、(先生に)肩を叩いてもらったり、腕をゆすってもらうと楽になります。 又、俗に言う“お化け”の(手を垂れ下げるような)ポーズで弾く方法もあります。

次は、指の動きに連動した力みです。 誰もが多かれ少なかれ持っていますが、簡単には取れない厄介者です。 具体的なトレーニンが必要なので、以下に例を示します。
 


■手首の力みを取るには

手首は、最も力みやすい部分です。 また、気づかずに力んでいることも多い部分です。

鍵盤を押さえたまま手首を下げ、軽くゆすって力を抜きます。 そして上げ、同じように力を抜きます。 脱力の感覚がつかめたら、中間の位置に戻します。
次に、この感覚を保ちながら、鍵盤を繰り返し押さえます。 (4拍子のサイクルがよい)この動作を、全ての指で行います。

(この発展は、「指の形を整えるには」を参考に。 前述の支えを取ることを忘れずに、脱力しづらいときは、指の動きとは別に、手首をゆっくり上下させながら押さえるとよいでしょう。)

■手の甲や腕の力みを取るには

手の甲や腕も、手首についで力みの多い部分です。 これらの原因は、4・5指の崩れにあることも多く、まず指の形を整えることが大切です。

手の甲の力みを取るには、鍵盤を押さえるとき、指先を手前に引くようにして、力を手のひら側へ移します。
腕の力みは、外側(手の甲側)へ来るので、同様に指先を引いて力を内側へ移します。

(指を動かしたとき、前腕内側ひじ近くで反応する部分や、蓋に手をついたとき、上腕内側で硬くなる部分へ指先からのつながりを感じると、力が移しやすくなります。)

■考察

トレーニングは、微妙な感覚が必要です。 バランス感覚を失わないよう、注意深く行ってみて下さい。 ある程度安定したら、様々なトレーニング教本へ発展させるとよいでしょう。

(例えば)
「指のトレーニング方法」の、「指の均一・独立・保持」。 二本の指だけで行うので注意しやすいです。
ハノンなどを使う場合は、安定するまで、1オクターブだけを片手ずつ、ゆっくり 弾く方がよいでしょう。

Q&Aでは、「4指のトレーニング」「2・3指のトレーニング」など、様々なトレーニングをアドバイスしていますので参考にして下さい。

「脱力」の検証

ここでは、ピアノを弾くときの感覚を通して、「脱力」を検証します。 チェックポイントとして、力みのないよい状態を記しますので、ご自分の状態と比べてみて下さい。

指先に違和感がなく、鍵盤との一体感がある。
手や腕に不快感がなく、自然である。
指の動きや腕に重苦しさがなく、楽である。
長く弾いた後、腕や身体に疲労感がなく、指の付け根がわずかに熱を帯びる程度である。

奏法によっては、手首・腕・脇(全て内側)を、しっかりさせて弾くこともありますが、脱力そのものは、指先に打鍵の“手ごたえ(芯)”を感じなら、鍵盤との“一体感”を持ち、手首・腕は“羽根のように”楽にするのが理想です。

この脱力を身につけるには、フォーム・支え・脱力といった、合理的なプロセスを踏む必要があるというわけです。