OWN WAY OWN LIFE

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■ 結婚式

 「いつも思うんだけどさぁ――」
  同じテーブルに割り当てられた彼女が呟く。
 「よく堂々と結婚式なんて開けるもんだよねぇ」
 「……なんで?」
  再び気軽に話せるようになったわけじゃない。
  ただ、なんとなく気になったから尋ねてみた。
  彼女はちらっと僕を見ると、またすぐに花嫁の方を向いて嘆息した。
 「だって結婚式ってさ、私たちはこれから、この相手としかセックスしません、って宣言してるようなもんでしょ?」
 「……相変わらずだな」
  昔から、彼女はそういうことを簡単に口にするタイプだった。
  そこが好きになった理由であり、嫌いになった理由でもある。
 「しかもさぁ、それをあの美紗子みたいな女がやってるんだから、もう笑うしかないって」
 「少しは成長したんだろ」
 「ぜーんぜん。ちっとも変わってない」
  周りのヤツらが前を向いてるのをいいことに、彼女は大げさに肩をすくめてみせる。
 「ウエディングドレスが着たかったんだってさ」
 「それが理由?」
 「あと、ビビッと来たとか、そんなこと言ってたけど」
 「……」
  確かに、昔とぜんぜん変わってないようだ。
 「でもさ――」
  急にバカバカしくなってきた僕の耳に、懐かしい、夢見る彼女の声が聞こえてきた。
 「ああいうドレスが着たい、って気持ちは、ちょっと分かる気がする」
 「……着てみたいんだ?」
 「ま、機会があればね」
  現実に戻ってきた声だった。
  しばらく考えて、ふと笑う。
 「着させてやろうか?」
 「なーに? 式場に友達でもいるわけ?」
 「そんなのいなくても、俺とお前とで結婚式をやればいいだけじゃないか」
 「え……」
  彼女の驚いた顔は、不思議と別れる前より可愛らしく見えた。

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