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怪しい話U−739

「ニコイチ」

 とある昼下がり、”先輩、ニコイチって何のことなんですか?”と聞かれたので、これこれこんなもんだという話をしたことがあります。

 車の場合のニコイチは、犯罪絡みになることもあるようですが、その場合は、ハコ屋、カミ屋なども登場し、ちょっとした月曜サスペンスの様相を呈します。

 ちなみに、ハコ屋というのは、実際にハコ(車)を強奪してくる担当、カミ屋というのは、ニコイチがハコ屋から仕入れてロンダリング(笑)した車に正規のモノを含めて車検証などの必要なペーパー類を提供する担当のこと。

 もっとも、カミ屋が扱うのは、各種の”紙”なのでパスポートを含めた身分証明書や、偽の卒業証書や資格証明書の類なとなど多岐に渡っているケースもあるそうですが、これもまた正式な統計資料があるわけではありません。

 元来、ニコイチというのは、南方戦線などで飛行機などを共食い整備したのが発端とも言われています。

 共食い整備というのは、普通の整備なら、工場などからパーツを取り寄せて交換して整備していくところを、動いている機体を1機ばらしてそのパーツを他の機体の整備に回すという手法。

 これは、オートバイなどが峠で事故を起こして半壊してしばらく放置されていると、いつの間にか純正部品などが抜き去られていく光景を連想してもらえれば大差が無いようです。

 共食い整備をすると、一時的に稼動機体数が増加するのですが、絶対数は減るわけですから、一定の期間内に補給が受けられないと急速にじり貧になっていきます。

 その辺りから、複数の車から良質な部品を抜き取って1台の中古車に仕上げる行為もニコイチと呼ばれるようになったらしいのですが、定かではありません。

 もっとも、ロンダリング系の車のニコイチの場合はもっと単純で、盗難車であることがばれない、あるいは発覚しにくいように、盗んだ車同士や廃車から抜いたパーツと入れ替えて、1台の中古車に仕上げる行為を主に意味しているようです。

 つまり、ニコイチといっても、すべてがすべて犯罪になるというわけではなく、いろいろな意味でわけありになっている物品を組み合わせを変えて再構成する行為全般を意味しているということになります。

 極論すれば、バツイチとバツイチを合わせてニコイチにしたと表現することも可能なわけです(笑)。

 では、何故に盗難車絡みでニコイチという言葉が囁かれるかと言えば、それが一番金になるからということのようです。

 このあたり、車を盗んで自分で乗り回していても、検問やちょっとした事故などから足が着けば逮捕されるわけで、メリットよりリスクが高い ・・・ 少なくとも現金収入にはならない事は分かると思います。

 では、パーツとしてばらして売るとどうかと言えば、そうそう何台分も売れるものではありませんし、堅気を相手に正規のルート以外で部外者が派手な盗品商売をしていると足が着くのは時間の問題と言えます。

 海外への密輸出ということになると、これはもう国際犯罪ですから、そうした組織の一員ないし、準構成員になることを意味していまして、 リスクが大きいというよりも、職業欄に”犯罪組織構成員”と書く事になりかねません(笑)。

 このあたり、実際にいろいろやってみて、ニコイチで転売するのが利益率が高くてリスクが比較的少ないということに落ち着いた人が多かったという理解で良いのかもしれません。

 車の窃盗に関しては、人気車種や年式、あるいは色などが存在するそうで、その中でなおかつ比較的簡単にロンダリングしやすい車種となると、狙われる車はかなり絞られるとも言われています。

 もっとも、日本から海外へ持ち出される車だけでなく、海外から日本へ運び込まれる車にもニコイチがあるという都市伝説はあります。

 これは、石油利権が渦巻く某国などで、油田の開発許可などを与える権限を持つ相手に、ベンツなどの高級車をプレゼントするというあたりから話が始まります。

 ベンツなどの高級外車を貰えば最初は感動するかもしれませんが、そうしたベンツが1カ所の油田だけでも複数の入札相手から送られると、担当者の元には見本市場のように高級外車が並ぶこととなり、少し調子が悪いだけで、乗り捨ててもおしくない状態になると話は続きます。

 そうやって、放置された高級外車をめざとく回収し、ニコイチ方式でリサイクルして破格の価格で日本へ送り込むというオチだったりするわけです。

 本当ですかと言われても、そういった話が流れた時代もあったということで、今となってはベンツくらいポケットマネーで買えるという金持ちがごろごろしているのが日本ですから、ニコイチ・ベンツの類に手を出すかどうかは微妙ではないかと(笑)。

(2006/12/14)


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