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怪しい話U−740

「都会の金鉱」

 黄金の国ジパングということで、日本は金を豊富に産出する国として知られています。

 もっとも、佐渡島の金山に見られるように、めぼしい金山は開発しつくされて、残るのは恐山周辺くらいではないかと言われていますが、誰が手を付けるのかは知りません(笑)。

 そういう背景があるためか、国内で下手に金山を捜したり採掘して精錬するよりは、OA機器をただ同然で回収して、そこから金が取れればいいという話があり、そのあたりから、都会の金鉱という話が囁かれたりすることがあります。

 この手の話は、パソコンに金が(現在よりも)大量に使われていた時代に遡るのですが、使われなくなったパソコンなどを回収して、金を取り出せば、下手な金山の鉱石1トンよりも、廃棄処分されるOA機器1トンからの方がよほど大量な金を手にすることができるという話です。

 実際、パソコンなどのOA機器や携帯電話の電子回路に金が使われている事は多く、重量あたりの金の含有量で考えると、確かに金鉱山で鉱石を採掘するよりはるかに効率が良かったりします。

 ただ、この話の最大の問題は、世界中で流通している金の在庫量が定かではないこと、個人や政府を含めた何らかの組織が隠匿している金の在庫量が定かではないことから、採算ラインがはっきりしないことかもしれません。

 しばしば、動乱期には紙幣を筆頭に通貨が額面割れを起こす事が多く、第1次世界大戦後の独逸などで発生したハイパーインフレーションのような現象や、大東亜戦争後の日本で行われた新円切り替えのような強引な通貨政策で、同じ重さのジャガイモほどの価値も無くなる事が実際にあったわけです。

 あるいは、ソ連が崩壊して露西亜として再編していく過程で備蓄していた金を取り崩して資金を捻出したら、世界の金市場で金の在庫がだぶつくようになり、結果的に金価格が下落した事もまた有名です。

 つまり、金が高値で取引される(事が多い)というのは、金が比較的加工しやすく劣化変質しにくい金属でありながら電気を良く通し、(変質しにくいということは)人体にほぼ無害なため、食品、薬品、装飾品、各種工業製品など多彩な用途がある事と無縁ではありません。

 ・・・ ブラックなところでは、金は溶かして鋳直してしまえば、金(地金)としての価値は同じでも、元の所有者が誰か特定できなくなるところが重宝されているという説もあります。

 ただ、それでも金が水のように(必要量よりも)大量に出回っていれば、現在ほどの価値は無いわけで、市場で流通している金の量がほぼ一定というか、少し不足する程度の量にコントロールされていることから(対重量あたりで)高値安定しているとも言えます。

 また、”戦乱が金を隠す”という名言があるのですが、自分の所属する政府が、戦争や経済的な失策などで政変が起こりそうな、あるいは国そのものが無くなりそうになってくると、自分の資産を金に換えて手元に置いて置きたがる人が増える事から来ています。

 このあたり、国や政府がこの先も安定していると思う人は、国債を買い、国や政府がどうも危ないと思う人は、金やダイヤを買うと言い換えてもいいのですが、ささやかな庶民の蓄財法と言えなくもありません。

 ただ、もっとリッチな人達になると、国内に貴金属や宝石などの形で隠匿しておくのではなく、いわゆるクーデター保険とかクーデター貯金とかいった制度を海外の保険会社に委託して非常時には利用するとされています。

 例えば、某国でクーデターが発生したとして、その一族郎党が難を逃れて瑞西かどこかへ着の身着のままで亡命したとすると、彼らが国を追われた時点で契約が発動し、かなりリッチな亡命生活を保障する相当な額の資金が一定期間支給されるような保険制度が昔からあるということです。

 もちろん、こうした保険に必要な金額は一般庶民とは縁がない桁数とされ、下手な貧乏国の国家予算の数年分くらいは隠匿されているという噂が後を絶ちません ・・・ 少なくとも一つの契約で運用されている資金だけで億より兆の単位の方が近いという説もあります。

 逆に言えば、そうした保険を国ではなく民間の保険会社が運用しているということは、巨額な保障を担保するだけの裏付けもまた金や宝石などの変動幅の少ない国際相場ではないかと考えられるわけで、必要に応じて手持ちのストックを換金して被保険者に渡す事もままあるのかなと。

 民間会社がやることは国家がやっても不思議は無いわけで、大東亜戦争直後というか、GHQが帝都に進駐してきたとき、いわゆる日銀の地下ダイヤや軍部が隠匿していた金塊などの国家資産を隠蔽しようとした話は有名で、その一部がGHQに接収され、さらにその一部がM資金(マッカーサーのM)として流れたという噂もあります。

 日本(軍)は貧乏だったから米国軍の物量に負けたという説がある一方で、亜細亜各国や日本国内から戦費調達という名目で無理矢理掻き集めた(当時は”献納”と称された)宝石や貴金属が戦費として使われる事無く戦後まで隠匿されていた現実があるということで、GHQが接収に成功した日銀の地下だけで現在の金額で20兆円とも40兆円の評価になったとも言われています。

 軍に隠匿されていた金で有名なのは、月島の陸軍糧秣倉庫に隠匿されていた金塊を隅田川に投げ入れてGHQの接収から逃れようとした事件で、この事件で隅田川に投下された金塊の評価額は現在の金額で15兆円を超えている計算になるそうです。

 ちなみに、GHQに接収された”政府保管の国民の金銀財宝類”は、サンフランシスコ講和条約を根拠に日本政府に返還されており、その後、”正当な権利者”に返還するか”国庫に帰属”させたことになっています ・・・ 献納した貴金属や宝石類を国から返して貰った覚えが無いという人がかなり多いような気はしますが、そもそもの総額が不明なだけになんとも。

 こう考えてくると、”東京の地下にはよくわからない大規模空間がそこかしこにあり、GHQも把握しきれなかった”という都市伝説めいた話も、戦中に隠匿された貴金属や宝石類、国宝級の芸術品の類がそこで未だに眠っていても不思議ではないような気がしてきます。

 都会の金鉱は、意外と、東京都民や首都圏住民の足下で息を潜めているのかもしれません ・・・ かといって、ツルハシ片手に夜な夜な掘り起こして何も出てこなくても私は関知しません(大笑)。

(2006/12/15)


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