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怪しい話−587

「サブリミナル」

 心理学の教科書にも掲載されて、某宗教団体の布教活動で一気にメジャーになったのがサブリミナルコントロールではなかろうかと。

 識意識下における情報のすり込みがだいたい主な内容で、人は認知できない情報でも識別しているという前提で話が進みます。

 そこで必ず”実例”として紹介されるのが、1957年にニュージャージー州フォートリーの映画館で行われたという実験であろうかと思われます。

 代表的な説では、・・・上映された映画「ピクニック」の映像の中に、5秒毎に3000分の1秒だけ「コーラを飲め」、「ポップコーンを食べろ」というメッセージを入れて流したところ、コーラの売り上げが18.1%、ポップコーンの売り上げが57.5%も上がった・・・というものがある。

 が、実は、「文字で表示した」というものと、「表面に水滴の付いたいかにもキンキンに冷えたコーラの画像と、カップに山盛りになっているポップコーンの画像を挿入した」という異説があります。

 はて、何故学術研究に異説があるのか?疑り深い誰かさんの地味な追求が始まったのは言うまでもない(笑)。

 で、奇妙なことに気が付いたのは、倫理的にどうこうということで追試が行われていないのに理論だけが先行していること・・・おい大丈夫か皆の衆。

 さらに、この実験の首謀者であるジェイムス・M・ヴィカリーは、サブリミナル効果を機械的に起こす装置の販売を計画していた・・・そろそろきたな。

 悪い事に、実際に使われた映画の中に問題のコマを入れたフィルムというものが現存していないし、ジェイムス本人が、実験が行われる前にマスコミに漏れてしまったため適当にデータをでっち上げて公表したと白状しているらしい事などが出てきた。

 実際問題として、彼が実験を行った後、さすがに別人がサブリミナル効果を追試して実証しようと何度かしたのだが、どの実験でも彼の行った実験のような劇的な数値は出ず、逆に否定的な結果がほぼすべてのケースで出ているという。

 したがって、某宗教団体が行ったというサブリミナルコントロールの技法には画期的な技術が開発されていた事になる・・・まあ、開発されていればだが。

 ちなみに、洗脳で大切なのは、反復であってチラリズムではない。

 では、サブリミナルコントロールで言われたように、認識できない高速で映された映像を頭は認識できないのか?というと、これがそんなことはないというややこしい話になる。

 なぜならば、右脳速読という形で、全世界中にその技術をマスターした人材が広がっていて、もはや常識となりつつあるからで、瞬間記憶術ということなら公式(?)にも中野学校の時代から一部で採用され実戦で利用されていたりもします。

 つまり、サブリミナルコントロールを行おうとすれば、まず右脳をある程度まで開発しているか、産まれながらにそうした才能があることが前提となるということで、無作為に被験者を選ぶと該当者が極めて少ないことが予想されます。

 いや〜、世の中はままならないもんですなあ(大笑)。

 もちろん、いわゆる(何のかは良くわからない)専門家とかニュースキャスターとかが、大まじめで肯定してきたサブリミナル実験がいまさら都市伝説だったとは言えないだろうから、この実験が都市伝説に含まれることはまず無い ・・・ 少なくとも日本においては。

 最近、気になっているのは、ニュースのコメンテーターやキャスターが何かといえばサブリミナルコントロールとか、洗脳とかいった言葉を乱用していること。

 もっと、きちんと勉強した上で発言しないと、言っている本人が視聴者を彼等の言うところのサブリミナルコントロールすることになるでしょう。

 実際には、彼等がサブリミナルコントロールと言っている事例の多くが反復学習や偏向教育による意識誘導や意識形成に過ぎないもので、特別な技術が駆使されているわけでもなんでもありません。

 まあ、どちらが都市伝説なのかは微妙なところで、ジェイムス君の実験が実はちゃんとしたものだったという事になる可能性が無いわけではないのですが、状況証拠は真っ黒です(笑)。

 というわけで、どっかの映画館で追試実験してみません?

(2003/07/06)


 チラリズムを利用したサブリミナルな刷り込みで、メッセージの意味を理解できるように脳の一部が活性化させるという証拠はほとんど無く、チラリズムで示されるメッセージが有効かどうかはかなり疑わしいというのが心理学のプロの主流の御意見。

 もっとも、それには大筋で同意しながらも、サブリミナルなメッセージによって人が行動に駆り立てられるということは無いにしても、(潜在的な物を含めて)記憶を呼び起こすきっかけにはなるのではないかという意見もある。

 ちなみに、憑依現象や多重人格などで見られる人格の書き換え現象を考えると、人の人格を含めた記憶というものは本当に脳を調べるだけで断定できるのか?という素朴な疑問はあります。

(2004/01/17)


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