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「キャンプファイヤー会場・・・・ここだね」

 手元の『最萌キャンプファイヤーへのお誘い』と書かれた紙と目の前とを代わる代わる見やって、
 さくらはふふん、と得意げに鼻を鳴らした。

「まだ誰も来てないみたいね。 一番乗り〜♪」
「いや、誰かおるで」

「え?」

   _|\_
   >   \          ((
   |  ´ω`|         ) )
  /    \       ノ
  | |     | \      ((  ((
  | | /⌒|⌒|ヽ二つ  )    ) 丿
  ヽ二二Ο./    \(( (   ノノ
  (_| |_| |_     \ ∴∵
    .(__)__)     //》||ヾミ\


「・・・・って、八頭身じゃない。 キモイヨー」
 がっくりと脱力しながらも八頭身の所へと歩いていく二人。 いや一人と一匹。

 その頃になってようやく、八頭身がずっとかがんで熱心に何かをしている事にさくらは気がついた。

「八頭身? 何してるの?」

 うにゅう族らしくない大きなシルエットの奥をひょいと覗き込むと、今はまだ小さな炎が。

「キャンプファイヤーやね」

「そっか。 よーし、燃えろ〜燃えろ〜」
「さくらが言うのは洒落にならんからやめとき・・・・」

「じゃあ・・・・ 萌えろ〜萌えろ〜」
「それはもっと厳しいからやめとき」

「・・・・燃やすよ?」
「すまんかった」

 燃やすかわりにうにゅうの額(?)を指で弾いて「お仕置き」を済ますと、
 さくらは八頭身の傍らにかがみ込み、パチパチと爆ぜる炎をじっと覗き込む。

 数時間前までは会場から流れ出る熱気と喧騒に包まれていたキャンプ村跡地も、
 今ではひっそりと静まり返っている。

「ねえ、うにゅう」
「なんや?」

「この程度の火でいいのかなぁ?」

 さくらの瞳に、映り込んだ炎の輝きとは別の妖しい光が宿っている事に、うにゅうはハッと気付いた。

「!! ・・・・ええんや」

「いいの? なんか、もの足りなくて」
「・・・・これでええって。 せやから火炎瓶放り込んだり、Zippoオイル撒き散らしたり、
 ロケット花火豆乳すんのはやめときや」

「・・・・ちっ」
「ちっ、やない!」

 その間にも、八頭身うにゅうは黙々と火を焚いている。

「それにしても、まだ誰も来ないねぇ」
「ま、女の支度には時間がかかりよるから・・・・ん?」

 うにゅうの眉がぴこりと動く。 さくらも異変に気付いていた。
 炎の向こうに透かして見えていた景色がぐにゃりと歪み、

「まろ〜る〜・・・・あちちちちち」
「うわ! キャンプファイヤーの炎の真っ只中か? また座標間違えたな」

 歪んだ空間の中から現れる、まゆらと黒うにゅう。

「ま、ま、まゆらが! 炎の中に突然現れて燃えてるよ!」
「おいおい、大丈夫なんか!?」

 慌てるさくら達に対して、当の二人はけろっとした顔で答える。

「あ、わたしなら大丈夫。 【ほのおのゆびわ】持ってるし〜」
「Lv4001にもなるとコレくらいの火なら大丈夫だ」

「・・・あんたら、非常識やね」

 この程度の炎などまるで気にもしていない様子で、まゆらはスカートについたすすを軽く払う。

「ところでさくら、なんか炎が小さくない?」
「うん。 なんかそんな気がするんだよね・・・・でもうにゅうが・・・・」

 はーやれやれ、と肩をすくめるさくら。 それから、二人でちらっと二匹のうにゅうを見る。

「まゆら、頼むからこの程度の火で勘弁してくれんか」
「うにゅうの気持ちは良く分かる。 ・・・・火遊びはダメだ」

 両方とも頑として意見を聞き入れそうには無い。
 さくらとまゆらは仕方なく火力アップを諦め、しばらく炎の前で互いに近況などを話し合う。

 だが、どうにも落ち着かない様子らしく、
 二人とも話の合間合間にちらちらとキャンプファイヤーに視線を流していた。

「ああ・・・・やっぱりうずうずするよ〜」

 うにゅう達に気付かれないよう、ぽそりと呟くまゆら。 さくらも小さくうなずいた。

「やっぱり、ゆらめく炎を見てると、『わくわく』するよね・・・・」

 呟くさくらの手が、こっそり火炎瓶を握っていることにまゆらは気付く。
 そしてまゆらも、我が意を得たりとばかりに笑みを浮かべた。

「やっぱり最後のキャンプファイヤーにしては小さいよね〜・・・・」

 そして相方達に気付かれないよう、こっそり呪文詠唱を・・・・


『やめんかー!!』


 ばれていた。
 どどめとレインボーばりのユニゾンツッコミに、二人の危険人物はしぶしぶ諦める。

「・・・・他に炎好きな人は居ないのかな〜」
「むうぅぅ。 燃やしたい萌やしたい燃やしたい萌やしたい〜」

 ちなみにその間にも、八頭身うにゅうは黙々と火を焚いていた。

 



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