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ギコ「うぅ・・・何で俺が買出しなんだゴルァ!!!」

うにゅう「まぁ、しょうがないで・・・ 酔っ払いには逆らわんのがベストや。 ついでに放火魔にもな・・・」

 山の夜道をとぼとぼと歩くうにゅうとギコ。
 その手には買出し用のリストが握られている。

ギコ「髪の毛は切られるし・・・ 俺は明日からどうやって生きていくんだぁっ!!!」
うにゅう「ギコはん、以外に男前やで」
ギコ「黙れゴルァ!!!」

 先程の酔っ払い軍団によりステキカットにされたギコは、
 すでにご機嫌が斜めを大幅に振り切って水平になっていた。

ギコ「くそっ・・・ とりあえず、リストを見るとするか・・・」

 カサカサ、と四つ折にされたメモを開いていく。

  酒.         忘れたら殺す.            .安子
  火薬.        良く燃えるのをね♪         さくら
  レールガン    山をも壊すのをお願いします    涼璃

二人『・・・・・・』

 しばしの無言。

ギコ「いいかげんにしろゴルァーーーーーーーーー!!!!!!!!」
うにゅう「めちゃくちゃやね・・・・ レールガンなんてどこにあるんや・・・」

 完全にギコはブチ切れ、うにゅうは途方に暮れていた。

ギコ「うにゅう・・・ お前はマジでこれを買っていく気か?」
うにゅう「わいはやる気ゼロやで」

 とりあえず街に降りてきたものの、二人のやる気ゲージはまったく上がる気配が無い。

 このまま街で時間を潰す・・・という意見も出たが、
 いずれ戻らなければいけない二人にとって、
 何もしなくて主人の元へ帰るというのは、死刑宣告にも等しい答えだった。

ギコ「・・・なぁ、うにゅう」
うにゅう「どうしたんや、ギコはん」
ギコ「ここはいっちょ、俺たちで仕返ししないか・・・?」

 キラン、とギコの瞳が光る。

うにゅう「どないな事をするつもりなん・・・」
ギコ「仕返しだよ、仕返し。
   俺たちはいつまでもお前らに従ってるばかりじゃないと言う事を見せてやる・・・!」

 ゴゴゴゴ、とギコの瞳が怪しく光る。

 既に頭をステキヘアーにされたギコにとって、
 もう既に怒りは臨界点を突破、大気圏突入、地表まであと5秒という状態だった。

 それに加えてこの買出しメモの内容・・・ ギコが憤慨するのも当然と言えよう。

ギコ「俺はやるぞ・・・ うにゅう、お前も付いて来い!!」
うにゅう「・・・とうとうアンタも暴走やね」

 うにゅうは、あくまでも醒めて傍観していた・・・・

ギコ「とりあえず・・・この頭をどうにかするぞ」
うにゅう「わいは素敵やと思うんやけどね」
ギコ「黙れゴルァ!! 俺は嫌なんだ! 即刻元に戻す!!!」

うにゅう「けど、どうやって直すつもりなんや?」
ギコ「これを見ろ!!」

 ババン!!!

【これであなたもふっさふさ!! 五秒で生える汁・育毛剤!!! 好評発売中!!!】

 ギコの手には恐ろしく怪しげなポスターが握られていた。

うにゅう「・・・怪しさ大爆発やね」
ギコ「この際手段は選んでいられねぇ!! 俺は行くぞ!!!」

 そう言いながら、ギコは地図の示す場所に向かってトコトコと歩いていく。

うにゅう「・・・ま、若さ故の過ち、やね」


 程なくして目的の店が見つかる。
 そこには見るからに怪しげな「汁薬直売店!!」という妖気を放つ看板を掲げる店があった。

うにゅう「・・・ホンマにこの中に入るんか?」
ギコ「当たり前だ!! 俺はきっちりこの頭を直してやる!!!」
うにゅう「・・・ま、せいぜい頑張っとくれや」

 威風堂々、と店の中へ突入するギコの背中にエールを送るうにゅう。
 その声に気付いてるのか気付いてないのか、ギコは勢い良く店の扉を開ける。

店員「いらっしゃいませだYO! ・・・ってギコじゃねぇか!
    お茶目なヘアスタイルしてるから分からなかったYO!」

ギコ「・・・あ? 汁ゅうじゃねぇか」

 店の扉を開けたその中では、汁ゅうがレジに座っていた。

汁ゅう「今日は汁親父がキャンプファイヤーに行くって言うから俺が店番してるんDA」
ギコ「・・・アイツ、いつの間にこんな店経営してたんだ・・・」

汁ゅう「それで、今日は何の用DA?」
ギコ「あぁ、このチラシに書かれているコレを買いに来たんだが」
汁ゅう「それならここに・・・」

 ゴソゴソ、と汁親父柄の陳列台を探る。

ギコ「・・・趣味わりぃな」
汁ゅう「多分これDA」

 そう言いながら、あからさまに怪しい色の瓶を取り出した。

ギコ「・・・恐ろしく危ない柄だな。 汁親父がラベルなんて・・・」
汁ゅう「しょうがないYO。 あの汁親父のやる事だから・・・」

 汁ゅうはうんざりとした顔で答えた。
 ギコは背に腹は代えられぬとばかりに、商品と引き替えに代金を支払う。

汁ゅう「また来いYO!」
ギコ「ぜってぇ来ねぇぞ!!!!」

 ピシャン、と勢い良く扉を閉める。
 すると目の前でうにゅうがのんびりと夜風に当たっていた。

うにゅう「・・・随分とお楽しみだったようやな」
ギコ「なに訳が分からない事を言ってるんだ!!! ・・・まぁいい、俺は手に入れたぞ!!!」

 ピカーン、とあたかも後光が差してるように汁・育毛剤を高々と掲げる。

うにゅう「・・・まるで天竺のお経やね」
ギコ「さぁ、振り掛けるぞ!!!」

 待ちきれなかったように、蓋を開けるとギコは勢い良く頭に振りかける。

うにゅう「あーあー・・・ 使用分量はちゃんと守らな」
ギコ「こういうのは大量に使うのがいいんだゴルァ!!!」

 うにゅうの言い分には耳も貸さずに、どばどばと頭にふりかけるギコ。
 しばしして・・・

ギコ「お? お? おおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」

 なんと!!! 見る間にギコの頭が戻っていくではないか!!!

ギコ「やったぞゴルァーーッ!!!!」

 正に勝利!! と言わんばかりに両手を振り上げ万歳三唱するギコ。
 うにゅうは転がる空瓶に目を向ける。

『品名:汁・育毛剤  原材料:汁99%、香料』

うにゅう「・・・・ま、言わん方がええやろね・・・」

ギコ「行くぞゴルァ!! 次は買い物だ!!!」
うにゅう「はいはい。 そんな慌てんでもええやろ・・・」


ギコ「とりあえず、酒の代わりを買いに行くぞ」
うにゅう「いきなり安子さんがターゲット・・・ 粋やね」

ギコ「具体案としては・・・ 酢を買うぞ!!!」
うにゅう「・・・血祭りになるギコはんが目に浮かぶで」

ギコ「・・・具体案としては、高級な酢だ!!!」
うにゅう「中途半端にヤケやね・・・」

 しばらく歩くとうにゅうが小さな酒屋を見つける。

うにゅう「酒屋はここやね・・・」
ギコ「うにゅう、よく見つけた! 入るぞ!」

 ガラス戸をピシャンと開けるギコ。
 その音に、カウンターの向こうのピンク色のおちょんぼが揺れる。

ちろり「いらっしゃいなのだ〜。 ひっく」
うにゅう「酔っとるやないか、この店員・・」

 ほのかに赤く染まった頬をほころばせ、どてらを整える少女。
 見れば、レジスターの脇には備前の徳利に唐津の杯。

うにゅう「いい趣味やね・・」

ギコ「そんな事より酒! ・・・じゃなかった、酢! それも高級なやつだ!!」
ちろり「ん? ギコさん達これからお料理なのか? っひく」

 違うと言いかけるうにゅうの口を抑え、ギコはブンブンと頭を振る。

うにゅう(毒子のヘッド・バンギング並・・・必死やね・・・)

ギコ「いいから、早く酢をよこせゴルァ!!」
ちろり「う、お客さん怖いのだ。 これもつけるから勘弁して欲しいのだ」

 と、ちろりは棚の隅からお酢の瓶と、半分ほどに減った酒瓶を差し出す。
 酒瓶には「美少年・生」のラベルが貼られていた。

 はにゃーん、とほころぶギコの顔。
 しかし、うにゅうはギコの企みの結末を想像していた。

うにゅう「今夜の天気は、一時血の雨・・・やね」

 うにゅうの心配とは裏腹に、
 さい先良く高級な酢が手に入り、意気揚々と次の買い物へと向かうギコ。

うにゅう「涼璃はレールガンやけど・・・」
ギコ「カーテンレールでイイだろ! そこの家のを売って貰うぞ!!」

 そう言ってギコは目の前の家の窓を叩く。

ギコ「オイ! いるなら起きろ!」  《 ドンドンドン!!》
うにゅう「無茶苦茶や・・・・」

 少しの間がありカーテンが開く。
 そこには寝ぼけまなこの少女が一人。

二瀬詩織「む〜、だれ〜〜〜?」
うにゅう(おぉっ! はだワイ・・・)

ギコ「おい! そのカーテンレールを売ってくれ!」
二瀬「え? え? カーテンレール?」
ギコ「早くしろゴルァ! 金は出すって言ってんだろ!!」

二瀬「は、はい! よいしょ・・・っと」

 二瀬は慌ててカーテンレールを外そうと手を伸ばす。

うにゅう(おおぉっっ! 見えそうで見えない所がまた・・・・)

二瀬「こ、これでいいの?」
ギコ「おう、ありがとよ! こいつは代金だ! ・・・うにゅう、次行くぞ!!」

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うにゅう「ああ、もう少し眺めていたかったんに・・・・」
ギコ「はだワイなんか千鶴さんので見飽きてるぞゴルァ!」

安子「くしっ!」
涼璃「風邪ですか〜? 安子さん〜?」

 そしてテンポ良く二つ目も手に入り、ギコはすっかりハイテンションになっていた。

うにゅう「残るは火薬やね・・・・」
ギコ「火が付きゃ花火でも何でもイイだろ! あそこの露天商を覗いてみるぞ!!」

 店員が二人に客が数人。
 露天商と言うよりはヤミ市といった雰囲気が漂っている。

ゲン「どうじゃ! この『らいんなっぷ』は! 今なら特別大安売りじゃ!!」
隆太「何しろ全ての会場跡地から拾い集めてきたけえのう!」

ミミル「このペンティアム、バグ有りのヤツ?」
晶「プレステのソフト、見っけ〜〜」
まいか「あ、花ゆめの12号だ」

隆太「ええのう ええのう♪ かわいい女の子のお客さんばかりでええのう♪」

 隆太が鼻の下を伸ばしている所に、突如ギコたちが押しかける。

ギコ「花火だ! 花火はねえのかゴルァ!!」
うにゅう「あ〜 一応火薬っちゅう事なんやけど・・・」

隆太「ブルブル・・・猫と変な生き物がしゃべっとる。 オバケじゃ、オバケじゃ兄ちゃん!」
ゲン「バカ隆太! この界隈では珍しくとも何ともないわ! ええ加減に慣れんかい!!」

ギコ「で、有るのか無いのか!?」
ゲン「そういやヘビ花火が有ったかのう。 拾いモンじゃけえ、しけっとるかも知れんが・・・」
ギコ「火薬には違いないからヨシ! これで全部揃った、帰るぞゴルァ!!」

うにゅう「さっき火が付けば何でもとか、アンタ言うとらんかったか・・・・」

 嵐の様な珍客の去った後に呆然とする女性陣。

晶「何だったの・・・アイツら・・・・?」
まいか「さあ・・・・」

 



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